about coffee

焙煎

 私にとって、焙煎は料理と同じです。

 

 ほんとうは、自家焙煎をするなんて思っていませんでした。

 とても私にできると思っていませんでしたし、相当な知識と技術が必要だと思っていたからです。

 でも、自分のお店で焙煎をしようと思ったのは、新鮮な豆を提供したいということと、やはり、自分で調理したものをお出しする店にしたかったからだと思います。

 

 コーヒーについては昔から大好きで、高校生くらいから、コーヒー好きの母の真似をしてドリップしていました。あちこちのコーヒーショップを訪ね、コーヒー教室や本を読んだりして自分なりに研究していました。でも焙煎については、表面的な知識を本で得ていたものの、ここは私のかかわれない領域だと感じていました。

 でも、「焙煎って、自分でもできるんだ」ということを手鍋の焙煎教室に通ううちに感じ、家でもやっていく中で、料理や菓子作りが好きだった私は、焙煎が料理と似ているということを感じ始めたのです。

 

 豆の袋から取り出し、質の悪い豆をはじき、焙煎を始めてから20分ほどの豆との対話。

 香りの変化やしわの具合、爆ぜる音。温度や時間も確認しながら、豆と向き合って、質問をしながら、おいしくなるように導いていくあの感じは、料理と同じです。

 わたしが使っている焙煎機は、いろいろ設定したりできる、大きな大きな迫力のあるようなものではありません。温度と時間をアナログに確認しながら、小窓などから見える豆の変化をもとに、火力やダンパーを手で調節し、「今だ!」という瞬間に釜から豆を放出します。でも、その都度しっかり観察して、「美味しいものをお客さまにお出しできるように」という思いで焙煎しています。

 みなさまにとって身近にコーヒーを楽しめるお店にしていきたいと思っています。